サステナビリティ
SUSTAINABILITY
水資源の保全
社会的背景
持続可能な水資源管理は、産業の発展、人口増加、気候変動の影響などにより、水不足や水ストレスが深刻化している現代社会において必要不可欠な課題となっています。都市部では大規模な水供給と浄化インフラが必要とされ、適切な水管理が必要となります。また、気候変動は降水パターンや水循環に大きな影響を与えており、一部の地域や発展途上国などでは、水ストレスや水貧困が健康問題を含む深刻な問題となっています。これらの水リスクへの対処と持続可能な社会の追求は、企業活動において今後ますます重要な課題となります。
EKKグループの方針
当社は、製品製造プロセスにおける水使用量の把握と削減、また排水処理の改善により、水資源の保護に取り組んでいます。さらに、各国や地域ごとに異なる水に関するリスクを評価し、それに応じた水資源保護活動を推進しています。
目標と実績
EKKグループにおける取水量管理および削減の取り組みにより、2022年の取水量は229千m³となりました。生産プロセスでは、減圧蒸留装置の設置や、すすぎ水タンクの水流最適化などを通じて、取水量の削減活動を実施しました。世界的な水リスクへの懸念に対応するため、当社は3カ年(2022~2025年度)の明確な目標として「国内使用量3年平均以下」の目標を掲げ、また海外は使用量把握を行うことで、グローバルで取水量増加抑制を行います。目標達成に向けて、私たちは積極的に取水量の削減活動を推進し、水資源の保護を進めていきます。
水リスク評価
適切な取水管理と需給バランスの維持は、水資源の持続可能性を確保するために我々の事業活動において不可欠な要素です。
適切な取水管理やリスク評価を行うことは、環境への負荷を最小限に抑えるだけでなく、地域の水資源への適切なアクセスや利用の公平性、および法的、規制上の義務を果たすことにつながります。取水活動が水源や地域の水循環に悪影響を及ぼす場合、地域社会の生活や経済活動に深刻な影響を与える可能性があります。環境に対して責任を持つために、EKKグループ全体で水のリスク評価を実施しています。
水に関するリスクに効果的に対処するために世界資源研究所(WRI)が提供するツールAQUEDUCT※を使用して、当社のグローバルな生産拠点における水ストレス状況を調査しました。その結果は以下のとおりです。
※AQUEDUCT:世界資源研究所(WRI)が発表した水リスク評価ツール
具体的活動
EKKグループでは水使用量削減の取り組みを行っており、特に水ストレスの高い地域での活動をご紹介します。
1. 減圧蒸留装置の設置(オランダ)
真空蒸留装置(真空かつ低温(40℃)で蒸留する装置)を設置し、工程内で使用した水を社内工程で再利用できるきれいな水にします。
この装置により、社内工程で使用される水の80~90%が再利用可能になりました。
2. 超音波洗浄装置(オランダ)
金属プレス部品の洗浄に使用される超音波洗浄装置には、独立したバッファータンクが設置されています。この独立したバッファータンクには、ろ過装置とダブルオイルスキミング装置(密度1gr/cm³以下、1gr/cm³以上の油の除去が可能)があります。
スキミング/フィルターユニットの追加導入により、洗浄液の寿命が大幅に延びました。
3. 排水処理をした水の再利用(メキシコ)
工程内プロセスで使用される水を効率的に使用することにより使用量を削減し、浄化された水を緑地への散水やトイレに再利用する取り組みを実施し、水の使用量の削減を行っています。
緑地の散水への再利用は2021年9月に、トイレへの再利用は2022年6月に開始しました。
4. プロセスの自動化(インド)
工程内で使用される定期交換部品の洗浄を手動式から機械式に変更し、水の使用量が1,000リットル/月から200リットル/月に大幅に削減されました